2010年9月25日土曜日

2010.9.25 尖閣諸島



漁船の船長を返してしまったのは本当にまずかった。
中国はこの事件を利用して、まんまと世界中に尖閣諸島があたかも中国の領土であるかのような宣伝をおこない、日本がこけおどしに屈することである種の既成事実まで作らせてしまった。

尖閣諸島は60年ごろまでは中国で発行している地図などでも、日本の領土であると認めていた地域だったが、海底油田があるかもしれないと言われるようになった頃から中国や台湾が領有権を主張するようになった。 特に最近の中国は、アメリカに次ぐ石油消費国になっており、国産品だけではとても賄えないことから、アフリカなどから経済支援の見返りに大量に石油を買い集めている。 そんな状態なので近くに石油が出そうだとなれば、なりふり構わずやってくるのだ。

漁船の衝突事件は石油とは直接関係がないけれども、中国政府にしてみれば、漁船が拿捕されてくれたお陰でまたとないチャンスができたわけだ。 レア・アースの輸出を差し止め、フジタの社員をスパイ容疑で拘束し、とても法治国家とは思われないような報復措置を次々と打ち出して、日本を屈服させた。 レア・アースは携帯電話の小型モータなどに使われる希少金属(世界の埋蔵量の90%が中国)であることを考えると、もともと資源をめぐる騒動だけに因縁のようなものを感じる。

同じ釈放するにしても、さっさと司法手続きを済ませてから国外強制退去させるとか色々やり方があったのでは無いかと思う。 ぐずぐずしている間に、中国に色々な攻撃をさせる時間を与えてしまい、ここまで話が大きくなってしまったのではないか。地検と政府の両方に責任があると思う。

クリントン国務長官が前原外相に、尖閣は日米安全保障条約の適用対象だといったという報道がある。 が、一方で、尖閣がどちらに属するかについて判断する立場にはないとも言っており、結局そこにあるのは、沖縄の基地問題を踏まえて、日本人に日米同盟を再評価させたいというだけの思惑だろう。 アメリカが中国と戦争をすることはあり得ないし、あくまでも中国ではなく、日本に対する外交上の駆け引きに過ぎないと思う。 

ドラえもんで例えれば、アメリカがジャイアン、中国がスネ夫で、間に挟まれた日本が、どちらからも偉そうにされているのび太という感じだろうか。 軍事力を背景にした威圧や、報復などと言う敵対行為は日本の外交スタイルではないけれども、歴史を動かしてきたのは紛れもなくそういう力だ。 今回の事件を機にまた、日本も核を持つべきだなどという議論が出てくるとすれば残念なことだ。 日本が頭をつかって、もっとうまく立ち回れるようになるのはいつの日だろうか? ドラえもんのポケットには実はもう何も入ってないのだから。