2011年2月9日水曜日

2011.2.8 北方領土再び

菅さんの「許し難い暴挙」発言にロシアが反発しているとして、日本のマスコミには批判的な論調になっている。 冷静に対応しろだとか、粘り強く交渉しろだとか、適当な事をいっているが、本当に現実を全く直視していないナンセンスな意見だと思う。

日本に対して明白な侵略国であるロシアにある種の常識やら、良心、道義といったものを期待すること自体が間違っている。 現実を言えば、戦争でもしない限り、北方領土は決して返ってこないし、問題も解決はしない。 まさかまたロシア相手に戦争をすることも出来ないのだから、今出来うる最善のことは、毅然とした態度でロシアを非難し続けること、それでロシアとの外交上、経済上の不利益が出たとしても全く意に介さない覚悟を示すことである。 平和条約など要らないとハッキリいってやればいい。

アメリカやイギリスは、北方領土問題について関わることはない。 ルーズベルトとチャーチルがスターリンを日本に参戦させるエサとして日本の領土を利用したことは歴史上の事実なので、今更日本に返してやれとは絶対に言わない。 また他の国も、領土問題は当事国同士の問題であり、関心を持つことは今後もないだろう。 これはあくまでもロシアと日本の間の問題だ。

ロシアの千島侵略についてはいくつも問題がある。 
1つめは、問題の発端は、ヤルタ会談だが、当事国のいないところで領土をどうするなどと言うのは国際法上無効である。 またスターリンは日露戦争で失った領土(そこには旅順なども入っているのだが)を取り戻したいといったということだが、その理屈から言えば、千島列島は日露戦争前に帝政ロシアとの間で平和理に日本の領土となったものなので、日露戦争とは関係がない領土なのだ。 ロシア戦争で失ったのは南樺太だけなので、全く矛盾している。
2つめは、ロシアの参戦がまだ効力をもっていた中立条約に違反したものであり、国際法的にも違法、純粋な侵略行為であったこと。 (トルーマンは、ルーズベルトがスターリンをそそのかしたことは知っていただろうが、この時点ではそのことにとても迷惑していた。 そのためソ連の参戦に先んじて日本が降伏するよう原爆投下を急いだという背景がある。) 
3つめは、サンフランシスコ平和条約で、千島および樺太の領有を放棄したとするのが、ロシアの今の根拠だが、そもそもソ連は条約に調印していないのと、千島が歴史上一度もロシアの版図に載ったことのない日本固有の領土、いわゆる北方4島まで含むのかどうかは曖昧で、アメリカ代表は含まないと演説のなかで言っている点である。

以上の3点を踏まえて、ロシアが千島を支配し続ける法的根拠は全くない。
なので、話し合いでとか、冷静にとか言っているようなレベルの話ではないのだ。

以上は筋である。 もう一方で結果論として、こうなってしまった根本的な原因はなにかと言えばやはり、日本が中国での始めた侵略行為と、その結果として抜き差しならない世界を相手の戦争にのめり込んでしまったことだ。 先の戦争で日本が国際法を忠実に守っていたかというと、とてもそんな主張は出来ないように思う。 また日本はロシアと戦争をしていたわけではないが因果応報ということもある。 未遂だったが、戦争の一時期中立条約の締結後も、ドイツの侵攻に合わせて、ソ連を挟撃しようともした。 そもそもあんな戦争をやっていなければ、ソ連につけいられることもなかったと思うと、一番罪深いのはやはり、泥沼の戦争に日本を引っ張っていった連中と、それを後押しした国民ということになる。
内向きには、なぜやられたのかということも確り考え、二度と同じ轍は踏まないことだ。

侵略だけでなくその後の何十万人もの抑留者の問題を考えても、ソ連は日本にとって大きな災厄でしかなかった。 北海道の半分をよこせとアメリカに要求していたことを考えると、場合によっては北方領土どころの話ではなかったかもしれない。 今でもロシアは北朝鮮と同じくらい煮ても焼いても食えない相手だ。 許し難い暴挙に対しては断固とした態度をとり続け、経済協力だのには乗ってはいけない。 恥さらしなだけでなく、この先もっとなめられることになる。 菅さんには是非とも、毅然とした態度を守って欲しいものだ。

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