2011年7月24日日曜日

2011.7.23 帰省 震災後の日本

コペンハーゲン経由で、成田到着。

東京で買い物をする。
三越では、節電のため館内の温度設定をあげていると繰り返しアナウンスしていた。
実感はわかない。 十分冷房は効いているように思えた。
そもそも、これまで冷房を効かせ過ぎていた、というのが本当ではないだろうか。
デパートなどに長時間いると、上着を着ないと風邪を引いてしまうほど寒い思いをした記憶がある。

駅に行くと、券売機の一部が節電のため停止とあった。
これも思うに、需要のある無いにかかわらず、もともとある設備をすべて動かしていなければならないということがおかしい。 
すべての券売機が動かなければならないのは本当に混雑しているときだけである。
応変にして、節電することは震災とは関係なく、本来やるべきことなのではと思った。

スイスは日本と比べると確かに猛暑の期間は極短く、湿度も圧倒的に低いという違いはある。
しかしそれでも3週間ぐらいは日中部屋にいるのが耐え難い時期がある。
で、ほとんどのオフィス、アパート、家屋はエアコンがない。
どうするかというと、午前中の涼しいときに窓を全開して空気を入れ替え、暑くなる前に窓を閉め、
シャッターを下ろして真っ暗にする。
これで外からの暑気をシャットアウトするのだ。
もちろん、それでも暑いので扇風機の風にあたることになる。
夜は窓を開け放しにして、汗をかきながら寝る。
どうにも我慢が出来なくなってきたころには、川やプールに行って涼をとる。
ごれがバーゼル流の夏対策だった。

日本の夏はそんな生易しいものではない。
しかし、デパートや駅の節電は、それが特別な努力という風には、私には見えないのだ。
日本人はもともと考え方に省エネの観念が薄いのではないかと思う。

日中、外の天気が良くても室内で電気をつけていることが多い。
スイスのオフィスで電気をつけて仕事をしていると、通りかかった同僚が、
私をからかったことがある。
スイッチをつけたり消したりして、Satoshi, does this make any difference? と訊く。
電気消しても大して変わらないんじゃないの、というわけだ。
そのとおりで、他の同僚たちをみても、そんな日に蛍光灯をつけているひとはいない。
これがスイスやドイツでは当たり前なのだ。
日本でも以前から節電を心がけている会社もあるだろうが、震災を契機にちょっとした努力を
はじめることはいいことだと思う。

別に電力会社に協力してというのではない。 
電力会社が何億も広告費を使って、節電を呼びかけるのは
原子力発電の必要性を誤った形で国民に刷り込ませるための策略である。
たくさんの発電所を作り、意図的に本来の発電能力に対して稼働率を低く設定し、
意図的にコストを高くして高い電気料を請求する。
原発がなくなっても必要な電力をまかなうには、他の発電方式の稼働率を上げれば
すぐに解決できる。
それをやる気が無いから“電力不足”を口実に国民を脅迫しているだけである。
原発事故を起こすたびに、繰り返されているいつもの手だ。
だまされてはいけない。

省エネは原発の問題とは関係なく、限られた資源を大切にする意味で重要なことだ。
野放図に電力を消費する生活態度を改めることは、それ自体が正しいことなのであって、
決して電力会社のうそに付き合うということではない。

2 件のコメント:

Akira T さんのコメント...

こんばんは。
スイスと日本では節電意識が随分違うのですね。
日本でしか暮したことがない者にとっては、
意識の高さに脱帽です。
「無駄な電気は使わない。」
ごく当たり前のことですが、日本人もっと意識
することが大切ですね。

番矢 理 さんのコメント...

子供の頃暗いところで本を読むと目が悪くなるといわれましたが、どうやらあれも嘘らしいですね。
あまり暗いところで目を使っていると疲れるというのはそうかもしれませんが、どちらにせよ実際に必要かどうかをその都度判断するという意識の違いがあるのだと思います。

あと、嘘のようなほんとの話を一つ。
シンガポールの人は日本の比にならないほど、エアコン好きです。
出張で2回ほど行った事があるのですが、公共の建物やホテルなど、とにかく冷房がものすごいのです。
驚いたのは、ホテルの部屋の窓に外側から結露していること。
部屋の温度が非常に低いので、外の湿気を含んだ熱い空気が窓に触れて外側から結露するのです。
しかも、部屋には温度調節のつまみがなく、毛布やら重ねないと風邪を引いてしまうような状況でした。
聞いたところ、シンガポールでは冷房はステータスシンボルであり、持っているところではガンガンに冷やすのだそうです。
デパートや、そのほか公共の場所も恐ろしいくらい冷房が効いています。
お出かけの際には厚着のご用心を。
常夏の国に出かけて風邪を引くということになりかねません。